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超音波医学雑誌(第43巻 第2号)「難治性心不全を呈した心ヘモクロマトーシスの1例」より引用
症例 70代女性
主訴 労作時呼吸苦
既往歴 高血圧および変形膝関節症
フェリチン異常高値。生検にて肝ヘモクロマトーシス、鉄芽球性不応性貧血と診断され鉄キレート療法が開始されたが、糖尿病を発症し、労作時呼吸苦が出現し入院となった。血清フェリチンは3210ng/mlと異常高値。心電図は伝導障害を呈し、単純CTでは砂質および一部の右室心筋に高吸引域を認めた。
心エコー検査:左室拡張末期径は53mm、拡大は認めないが、壁運動はびまん性に低下。駆出率(くしゅつりつ)は30-35%と収縮能は低下。
入院時心エコー図検査から20日後には右心機能低下が顕著となり、心室中隔に点状の輝度(きど)を認め、左室流入血流速波形は拘束型を示し、急激に心不全が進行。
心エコー図所見から、心ヘモクロマトーシスと診断。心ヘモクロマトーシスは心筋細胞への鉄付着により、心不全をきたす病態。
通常の心不全治療に対し薬剤抵抗性であり、心室頻拍のため第31病日に永眠。
●心エコー図所見は、心筋内に沈着物を示唆する輝度上昇。右室心筋不全、左室長軸方向の収縮低下を認め、拘束型心筋症様両心不全の病態を呈し、心ヘモクロマトーシスの診断には心エコー図法は非常に有用であった。
引用文献
金井浩:超音波医学雑誌第43巻第2号,一般社団法人日本超音波医学会,東京,2016
文責:K