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Cmem18-01605251108/フェニルケトン尿症 ......
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Cmem18-01605251108@Cmem18
小児科診療 第79巻 第6号「特集 先天代謝異常症-エキスパートによる最新情報-」より引用
フェニルケトン尿症(PKU)の治療法ー>フェニルアラニン(Phe)制限食の有効性が確立しているが、肉、魚、豆類、などのタンパクを多く含む食品を自由に摂取できなくなるため、QOLの低下が避けられない。
新しい治療法として最近では、
- テトラヒドロビオプテリン(BH4)
PKUに対するBH4の投与。BH4負荷試験でPAH遺伝子に変異をもちながら血中Phe濃度が低下する症例が存在。
- 中性アミノ酸(LNAA)大量療法
中性アミノ酸を大量に投与することによって、アミノ酸トランスポーターを競合阻害し、腸管におけるPhe吸収、Pheの脳内への移行を低下させると考えられている。
- 新しい低フェニルアラニン食品
グリコマクロペプチド(GMP)はチーズを作るときに分離される 液分画に含まれるタンパクで、フェニルアラニン含量がきわめて少ないとされている(約0.2〜0.5%)。 通常タンパクは約5%のフェニルアラニンを含む。
GMPを用いることにより約70%は天然タンパクから摂取することが可能であるため、より自然食に近い治療食を作れる。また中性アミノ酸が大量に含まれているため、LNAA投与効果も期待できる。
- 酸素補充療法
Phe分解酸素は植物由来の酸素で、Pheをシナモン酸へ変換。BH4などの補酸素を必要としないため、腸管内や皮下などの厳しい反応環境下でも活性がある。
だが、米国で臨床試験を行った結果、週1回の皮下投与では十分な血中Phe濃度の低下は達成できなかった。また、副反応として、局所の発赤や痛み、アナフィラキシーも報告されているとのこと。
- 遺伝子治療
現在までに、レトロウイルス・ベクター、アデノウイルス・ベクター、アデノ随伴ウイルス・ベクター(AAV)を用いた遺伝子治療が検討。2004年kumeらが、マウスPAH遺伝子を組み込んだAAVウイルスを作成、門脈から肝臓への投与で長期間に渡り、血中Phe濃度を低く保つことが可能、体毛色の正常化を認め、さらに中枢神経系機能の改善も示唆。現在血清型8型のAAVベクターで、肝臓ではなく筋肉内への投与でよい治療成績が報告されているようだ。
これらが開発され、 1と2はすでに臨床で実施されているとのこと。
こういった新しい治療法でフェニルケトン尿症の治療におけるQOLの向上が期待されている、と著者の呉繁夫さんは述べている。
引用文献
衞藤義勝ら:小児科診療 第79巻 第6号,(株)診断と治療社,東京,2016,P813〜
文責:kuru