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info05-01607211043/ピロリ感染の除菌治療 ......

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以下、文献先の「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する除菌治療に関するQ&A一覧」より


感染診断と内視鏡検査の順番
内視鏡検査が先であり、感染診断および除菌治療の対象は『内視鏡検査によって胃炎の確定診断がなされた患者』(医療課長通達参照)となっているので、感染診断を先に行うことはできない。

内視鏡検査の実施時期
内視鏡検査には胃炎の確定診断と同時に器質的疾患とくに胃癌のチェックという重要な意義がある現時点で胃癌を認めないというためには、6か月以内に内視鏡検査が実施されている必要があると考えられる(学会の見解)

Q.内視鏡検査を行う場合、ピロリ感染診断を行う場合、除菌治療を行う場合における病名をどのように考えるべきか?
A.

  1. 内視鏡検査については従来と同様で、患者さんの症状等によって内視鏡が必要な場合の病名(疑いも含む)の記載が妥当。
  2. 内視鏡検査で胃炎の確定診断のもと感染検査を行う場合の病名は『ヘリコバクター感染胃炎』ないしは『ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の疑い』となる。
  3. 除菌治療を行う場合は『ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎』となる。
Q.他の施設において内視鏡(検診・健診を含めて)で胃炎と診断された患者さんに対して感染検査や除菌治療ができる?
A.他施設で、6か月以内に通常診療および健康診断として内視鏡検査が行われ、胃炎と確定診断がなされていた場合には、内視鏡検査を省略して感染検査を行うことが可能。その際、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に内視鏡の施行日および胃炎所見を記載しておく。(注意: 6か月以内という期間は学会の見解)

Q.胃癌リスク検診等でピロリ感染陽性と判明していた場合、再度ピロリ感染診断の必要はある?
A.検診等でピロリ感染陽性と判明していた場合には、内視鏡検査による胃炎の確定診断は必要だが、再度ピロリ感染診断を行う必要はない。(その際には、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に感染診断の実施施設および施行日と結果を添付ないしは記載しておく。)

Q. ヘリコバクター感染胃炎の感染診断法には、迅速ウレアーゼ試験、 鏡検法、培養法、抗体測定、 尿素呼気試験、便中抗原測定があるが、学会として推奨している検査法は?
A.6つの方法が保険適用。最も信頼度の高いものは、「尿素呼気試験」。同等に信頼性の高いものは、「便中抗原測定」。これらは、面の診断法で、除菌判定にも有用。面の診断法である抗体測定には、日本人の菌株から作られたキットが使用されるようになり、感度,特異度も高い。しかし小児や感染直後には陽性化しないことがあり、除菌成功後もすぐには陰性化せず陽性状態が長期間続く。
内視鏡検査のときに同時に行える迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法は点の診断法。ピロリ菌が胃粘膜に一様に生息している訳ではないため、ピロリ菌陽性者でも菌のいない部分から組織を採取すると偽陰性となることがあるので注意が必要。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用している場合は偽陰性を防ぐために2週間の休薬後に行うことになっている。ピロリ菌陽性、陰性を示す特徴的な内視鏡所見を十分に理解しておくことが何よりも重要。

Q.なぜ除菌判定のために、PPIを4週以上休薬しなければならないのか
A.除菌判定は除菌治療薬中止後4週以降に行うことになっている(日本ヘリコバクター学会ガイドライン2009より)。しかし、偽陰性例を少なくするため、除菌治療終了3か月以降に行うことが望ましいとの報告もあるので参考にすべき。除菌判定前にPPIが使用されていると、30-40%に偽陰性になるので、除菌判定前には一定期間のPPI休薬が必要。保険適用上は、当初はPPIを4週間以上休薬が必要とされているが、現在では2週間の休薬が求められている。

Q.ABC分類のD判定でピロリ陰性と出ている場合でも除菌しても良いか
A.ABC分類のD群は、ペプシノーゲン法が陽性かつピロリ菌の血清抗体法が陰性である群。通常は胃粘膜の萎縮が強く、ピロリ菌が生存できない状態が多く、D判定は胃癌のリスクが最も高い群であり、注意深い観察を要する。血清抗体法で陰性であっても、同検査の感度は91-100%、抗体産生能の低下などが要因で偽陰性になっている可能性もある。
保険診療では、血清抗体法、尿素呼気試験、便中抗原、の非侵襲的検査については除菌前後のいずれにおいても2つの検査の同時算定が可能。よってD群に関しては血清抗体法のみでなく他の感染検査法を追加し、陽性が確認された場合には除菌を行なうのが良い。




文献) 日本消化器病学会, 「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する除菌治療に関するQ&A一覧」

文責)kuru