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『 子どもの心の診療医の専門研修テキスト』
平成20年3月、厚生労働省のホームページより。
●摂食障害
◯異食症
異食症とは通常食べないもの(非栄養物質)を少なくとも1ヶ月異常摂取することをいう。成因としては、広汎性発達障害や精神遅滞などに伴う理解力、感覚鈍麻の問題があるとされ、環境による要因として、親からの養育不全、過度のストレスなどがあげられるようだ。子ども自身の異食に対する抵抗のなさがあり、環境要因が重なることによって発症に至ると考えられるそう。
2歳未満の幼児が何でも口に入れるのは、正常の発達の中にみられるものであるため異食症とはみなさないが、児の発達段階からみては不適切な場合に診断される。これは精神遅滞、広汎性発達障害の子どもにしばしばみられるが、その場合特別な臨床的関与が必要である場合に診断されるものだそう。この症状は幼児期にみられるものであれば正常機能である場合大半が自然になくなる。広汎性発達障害、精神遅滞を伴うものでは比較的長時間続くこともあるが、多くの場合は発達とともに軽快される。重度の精神遅滞を伴うものでは長期にわたって続くケースもあるとされているよう。
鉄や亜鉛などの栄養状況を確認し、不足であれば補う必要がある。食べ物とそうでないものの区別がついていない場合には、異食の対象となる物は目の届かないところに置くなど環境面での改善も大切とされると述べられている。(野邑健二さんより)
◯反芻性障害
正常な食習慣が身についたあと、食後の吐き戻し・噛み直しを継続して繰り返すことをいう。部分的に消化された食物が、明らかな嘔気・むかつき・嫌悪感・消化器症状を合併することなく口腔内に上がってくる症状。その後食物は口から排出されるか、大抵は再び飲み込まれる。摂取した食物を嘔吐するため、栄養不良や脱水症状がしばしば起こることとなり、これが長期になると体重減少、増加不良、成長障害を生じることがあるそう。
成因としては、自己刺激的行動であり、精神遅滞のケースでは、感覚遊びの一種と考えられ、知的発達に遅れのないケースでは、養育不全、不適切養育などによる刺激の欠如、ストレスの強い環境が関係することがあるとされるよう。栄養状態が不良である場合は、非経口栄養など身体的な対処が必要とされる。自己刺激行動に由来するものである場合は、行動療法的介入が有効になることもある。養育環境について聴取し、適度な刺激が与えられるように環境に調整を行うことが必要であると、述べられている。(野邑健二さんより)
◯幼児期または小児期早期の哺育障害
6歳以下の幼児・小児において、原因となる身体疾患や精神疾患がみれないにもかかわらず、一ヶ月以上にわたり、十分に食べられないことが続き、体重増加が全く見られない、または著しい体重減少をまねく症状をいう。親の養育能力・養育態度、養育環境、子どもの気質などの問題によって親子関係がスムーズにいかないケースがある。こういったことより哺育に問題が生じるとそれが葛藤となり余計に親子関係が悪化するという悪循環が起こってしまうそうだ。
栄養不良に伴う身体疾患が合併する可能性があり、背景に発達障害の合併があるケースも考えられるよう。大多数のケースでは成長は改善されるが経過が長くなってしまうと身体発達に影響が出るという報告もあるとされている。と述べられている。(野邑健二さんより)
摂食障害というとストレスを抱えた大人に発症するものだという考えの方が多いかもしれません。ですが、ストレスを感じているのは子どもも同じだということ。家庭内や、学校での出来事で精神的ショックや、些細なストレスを負い子どもの心に傷がついてしまっているかもしれません。子どもは大人が思っている以上に敏感に周りの変化を感じ取れるそうです。親御さんのプレッシャーなどが原因で摂食障害になってしまっているお子さんも多いそうです。
文責;kuru