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『 子どもの心の診療医の専門研修テキスト』
平成20年3月、厚生労働省のホームページより。
●選択性緘黙(P74〜)
比較的稀な疾患であり、有病率は10,000人に対して18人という報告。言語、知能などに障害はないが、学校などの特定の場面にて継続的に発語が出来なくなる稀な情緒障害をいう。話すことができないだけではなく、思うように動くことができないという「緘動」の症状を認める場合もあるそうです。家庭外における不安定な対人関係、社会環境において緘黙を認めるが、家庭内では多弁を認める場合もあるよう。成因として、不安障害との共通性のある群と、発達障害の存在する群とがあり、臨床像からは病因として学校への過敏性と過剰な不安の存在が想定されるそうです。
祖母や母親からの過剰な溺愛、父親の不在など、家庭内での異常な依存状態により、本人の精神発達が年齢相応でない場合と、本人が性格的に持っている特徴とに影響を受けている状況があるものと思われているようです。この症状は多くの場合、家庭外にていつも極端に緊張をしている。笑わなかったり、首を使ったコミュニケーション、自分に自身がない、など自発言語を認めなくなるのが特徴と言えます。また家庭内では普通に振舞える場合が多いようです。
治療に関しては家庭外の安定した対人関係の困難が病態の中心であるため、治療導入そのものが困難となる場合が多いそう。本人の知的能力を把握するとともに、パズルなどの単純なゲーム、卓球などの対面型スポーツにより交流を図る治療者が多いといいます。本人が家庭外の緘黙状態へ依存する要因が家庭内にあるということを想定した上で、それを治療者と率直に話し合い、慎重に除去することが不可欠となると、述べられている。(山崎知克さん)
今回の「選択性緘黙」という疾患はどういうものなのかあまり想像がつかなかったのですが、比較的稀な疾患だったのですね。幼児期に多く見られる症状で、単なる人見知りや恥ずかしがり屋とは違い、症状が大変強いため、何年たっても自然に改善することが出来ず長期に渡って続くケースがあるようです。効果的な教育的介入を行わなければ成人まで継続してしまうこともあるため、早期に適切な教育的介入を行う必要があるとされているようです。
文責;kuru