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日本医師会雑誌第145巻・第2号
「特集 なぜ男性はがんになりやすい?」より
2010年に診断されたがんは推定で男性は約47万例、女性は約34例。男性は女性の約1.4倍も多い。
日本人のがんの原因は、喫煙、受動喫煙、過剰飲酒、運動不足、肥満・やせ、塩分の過剰摂取や野菜・果物不足といった食事問題、ウイルス・細菌への慢性感染が挙げられるとある。
男性の場合一番多いのは、喫煙で30%を占めている。
日本人におけるがん罹患の原因に対する人口寄与リスク割合(2005年推計)の性差で特に大きいのは喫煙と飲酒。女性が喫煙5%、飲酒2.5%に比べ、男性は喫煙29.7%、飲酒9%となっているようだ。
●79歳までの男性の部位別によるがんの罹患リスク
肺がん:5.9% 女性の2.4倍 性差は年齢と共に大きくなる傾向。
食道がん:1.7% 女性の5.7倍 年齢による性差は69歳までが9倍と大きい。
胃がん:7.9% 女性の2.6倍 年齢による性差の傾向に大きな変化はない。
肝臓がん:2.8% 女性の2.3倍 加齢と共に性差は小さくなる傾向。
大腸がん:6.0% 女性の1.6倍 年齢による性差の傾向に大きな変化はない。
著者の津金さんは、がんの原因として確立している生活習慣(喫煙、飲酒など)の生活習慣の性差から考察を試みたようだ。肺がんや食道がんなど性差の大きい部位は、男性に喫煙者や飲酒者が多いことにより説明可能。
胃、肝がんなどについては喫煙や飲酒のような生活習慣の性差で説明可能な部分もあるが、それらを補正しても男性であることがリスクであったようだ。
理由についてははっきりとは分かっていないようだが、女性ホルモンが予防的に働いているのではないか?と示唆され、今後もさらなる検討が必要である、と述べられている。
引用文献:荒井陽一ら:日本医師会雑誌第145巻・第2号,日本医師会,東京,2016,P247
文責:kuru