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「ストレスとミクログリア ートランスレーショナル研究ー 」
ストレス研究や精神疾患研究の脳内ターゲットは最近までもっぱら神経・シナプスであったが、近年グリアにも注目が集まっている。
ミクログリアは脳内の主要な免疫細胞。
静止状態では脳内の監視役としてシナプス間を含む微細な環境変化をモニターしていて、様々な脳内環境変化に応答して活性化すると遊走能を有するアメーバ状の形態へ変化。
貪食能(たんしょくのう)を呈し、標的部位まで移動し、神経傷害因子および神経栄養因子を産生し、脳内の炎症免疫機構を司っている。 ー>齧歯類モデルを用いた研究により明らかとなっている。
ストレスがミクログリアの活動性を変容させるという知見も齧歯類モデルにより明らかになりつつある。
人の精神活動における関与に関しては、まだ詳細な検討はされていないが、近年の死後脳研究やPETを用いた生体脳研究において、
統合失調症患者、自閉症患者、慢性疲労症候群患者の脳内でミクログリアの過剰活性化が報告されている。
こうした病態にはストレスが直接的に間接的に関与することから、「ストレスー>ミクログリア活性化ー>精神病態」という経路が想定??? その解明はほとんどされていないとのこと。
・ミクログリアは、気質、人格形成、繰り返される無意識的な社会的行動に司っている?
ミクログリアの活性特性は幼少期のさまざまな心理社会的ストレスによって形成され、将来的なストレス応答(脆弱性・レジリアンス)を規定しているのかもしれない。
・ミクログリアは胎生期の脳内で最も活動性が高い。成長するにつれて次第に静止状態として脳内に定常的にとどまることが齧歯類で明らかに。ー>最近の報告では、脳の発達期における刈り込み現象にミクログリアが重要な役割を果たしていることが明らかに。
引用文献:大野裕:日本ストレス学会誌第29巻4号,日本ストレス学会,東京,2015
文責:kuru