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Cmem09-01607071000/遺伝性乳がん ......

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Cmem09-01607071000@
日本医師会雑誌第145巻第4号より、ほぼそのまま引用

●乳がん
P705〜 遺伝性乳がん卵巣がん 平沢晃ら

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)
HBOCは、BRCA1または、BRCA2(BRCA1/2)遺伝子の生殖細胞系列変異を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患。
HBOCでは、関連がんの発症が女性のみならず、男性でも認められ、BRCA1/2遺伝子変異を有する男性では、一般集団より高頻度に男性乳がん、前立腺がんを発症する。

<BRCA1または、BRCA2遺伝子変異保持者の生涯がん発症リスク>
乳がん 40〜80%
卵巣がん 11〜40%
男性乳がん 1〜10%
前立腺がん 39%まで及ぶ
膵がん   1〜7%

現在日本におけるBRCA1/2検査はファルコバイオシステムズがMyriad Geneticsから受託解析を行っている。 ー>検査の結果として、「病的変異」、「変異を認めず」、「病的意義が不明な遺伝子変化」の3通りが考えられる。

2015年にCIMBAは、世界33カ国の約3万人のBRCA1/2遺伝子変異陽性者を対象とした解析により、遺伝子変異の部位と乳がん卵巣がん発症リスクの関係を明らかにした。
例えば、BRCA1 exon 11 と、BRCA2 exon 11 の変異例では、卵巣がん発症が高頻度であることが判明済み。(しかしこの報告に日本人は含まれていない)


以下P.677〜「遺伝子腫瘍ー本邦における診療基盤の確立を考える」日本乳がん学会理事長の中村先生の説明より
PARP阻害薬の1つである、オラパリブで再発乳がんにおいての第III相試験が行われ、現在試験は終了しデータの収集中。結果待ち。
術後の再発予防についても、まだ治験が進行中のため卵巣がん同様に乳がん領域でもPARP阻害薬に期待をしているところ。

最近の話題としては、BRCA1/2遺伝子変異保持者は、非保持者に比べ約10倍乳がん発症リスクが高く、さらに10〜15才若い年齢で発症すると言われている。そのため20〜30代という若いうちから検診を受ける必要があるが、この年齢層は高濃度乳房(乳腺密度が高い)の場合が多く、一般的に普及しているマンモグラフィ検診ではほぼ役に立たないと報告されているよう。 造影剤を使用したMRI検査はより小さなしこりを見つけることが可能なため、BRCA1/2遺伝子変異保持者には特に有効。考慮するリスクとしては、20代から行う場合の、放射線による被曝。


文献)青木大輔ら:日本医師会雑誌第145巻第4号,日本医師会,東京,2016

文責)kuru