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垣内美和子さん、石川俊平さんの「びまん性胃がんにおいて高い頻度でみられるRHOA遺伝子の機能獲得性の変異」の論文よりほぼそのまま引用させていただきました。
胃がんは、腸型胃がんとびまん性胃がんに大別される。
びまん性胃がんは悪性度の高い難治がんのひとつ。胃がん全体の30〜50%をしめる。
発がんにかかわる分子生物学的な研究として、家族性のびまん性胃がんの研究から細胞接着因子のひとつであるEカドヘリンをコードするCDH1遺伝子の胚細胞変異が認められ、孤発例のびまん性胃がんにおいてもCDH1遺伝子の体細胞変異、ヘテロ接合性の消失(LOH)、遺伝子プロモーター領域におけるDNAの高メチル化が認められるとされるようだ。
○びまん性胃がんの全エキソン塩基配列解析
全エキソン塩基配列解析により得られた結果:
高頻度に認められた体細胞変異は、胃がんにおける変異が知られている遺伝子として、TTN遺伝子(11例)、TP53遺伝子(11例)、ARID1A遺伝子(5例)に変異。
家族性のびまん性胃がんにおいて指摘されているCDH1遺伝子の変異も5例に認められた。
新規の変異としてRHOA遺伝子の変異を7例認めた。
RHOA遺伝子に変異のある7例のうち4例においてはTyr42がCysに置換するという同一の変異であった。
○変異型RHOA
87例のびまん性胃がんにおけるターゲット遺伝子塩基配列解析の結果:
RHOA遺伝子の変異においてアミノ酸置換の生じた部位はTyr42、Arg5、Gly17に集中。
これらのアミノ酸残基は、人以外のRHOAや人のRHOファミリーにおいて保存されており、構造および機能において重要であると考えられたようだ。
Try42はエフェクタータンパク質やRhoGEFあるいはRhoGAPとの相互作用に重要なコアエフェクター領域とよばれる領域に含まれていた。
文献)
びまん性胃がんにおいて高い頻度でみられるRHOA遺伝子の機能獲得性の変異
文責)kuru