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プライマリ・ケアとしての、更年期障害診断
日本人女性の平均閉経年齢49.5歳。(中央期50.54歳と報告)その前後5年の合計10年間を更年期という。
原因として考えられるもの:卵巣からのエストロゲン分泌低下。心理社会背景の関与。加齢による体力低下、女性らしさの喪失。
12ヶ月以上の無月経を確認することにより判定。日常生活に支障をきたす病態が更年期障害と定義される。
欧米:ホットフラッシュなどの血管運動神経症状と萎縮性膣炎、性交痛などの膣症状が主体。エストロゲン欠乏による内分泌学な変化に起因する症状が中心。
日本:肩こり、易疲労感、のぼせ、発汗。他は精神神経症状(抑うつ、不眠など)、運動器症状(腰痛、関節痛など)、消化器症状(嘔気、食欲不振など)、皮膚粘膜症状(乾燥感、痒みなど)、泌尿器症状(排尿障害、頻尿など)と多種多様。
加齢に伴う身体的変化や精神・心理学的な要因、社会文化的な環境因子などに起因する症状を含めている。
精神神経症状としては、情緒不安定、イライラ、抑うつ気分、不安、不眠が出現ー>エストロゲン低下という内分泌学的な変化だけではなく、月経の停止、乳房の萎縮などの女性らしさの喪失、体力低下や老いの自覚など。(子どもの自立や両親の介護などのライフサイクルの変化も関与している。)
うつ病は更年期は閉経前と比較すると、発症リスクが2.5倍高い。日本人の更年期症状は、多岐にわたり、その症状にはさまざまな心理社会背景の関与が考えられる。目の前の患者を診て、「家族の木」を思い描くことが重要なポイント。
文献
日本プライマリ・ケア連合学会 実践誌編集委員会:プライマリ・ケア秋号Vol.1 No.1,一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会,東京,2016
文責:kuru