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fuku01-01604101230/福島の放射能* ......
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fuku01-01604101230@
福島の放射能について
(以下の説明文は福島県小児科医会による「放射線と子どもの健康〜子どものすこやかな成長のためにできること〜」の資料をほぼそのまま引用しまとめたものである)
○放射線、放射能
放射線を出す力を放射能という。放射線を出す力が「放射能」であり、単位はベクレル(Bq)。1ベクレルは1秒間に約1回放射線を出し、他の核種に変化する。
放射性物質ー>放射性セシウムなど「放射線」を出すもののこと。我々の周りには放射性カリウムなど天然のものがたくさん存在する。
例えば、
- 図1:放射線をウンチに例えると・・・
- 図2:お酒に例えると・・・
○放射線と放射性物質の遠距離到達の違いとは
放射線(ガンマ線やX線のこと)は離れるほど線量が弱まるが、放射線量は距離の二乗に反比例するため、せいぜい数十メートル程度しか飛ばない。放射線物質は放射性同位元素を含んでいるため、そのものから放射線が出る。この時に問題となるのが、アルファ線、ベータ線であるが、数mm〜数cmしか飛ばないため、花粉を払う如く除去すれば良い。
アルファ線は紙1枚、ベータ線はアクリルやプラスチックにより遮蔽される。
放射能は、時間と共に減っていく。それは、線香花火が徐々に火花を出さなくなるのと似ている。
ヨウ素131は約8日、セシウム134は約2年、セシウム137は約30年が半減期となっている。
○被曝には2種類ある
- 外部被曝ー>身体の外にある放射性物質から放射線を受けること。マスクや衣服により防ぐことは不可。
- 内部被曝ー>身体の中に入った放射性物質から、放射線を受けること。ヨウ素131のように、甲状腺に集まるなどの特徴を持つものもある。
○ではなぜ、放射線が人体へ影響するのか?
放射線により損傷を受けたDNAの多くは修復がされる。 図3:放射線によるDNA損傷のしくみ
放射線による細胞損傷ー>急性被曝(一定時間に高い線量)ー>確定的影響(不妊、白内障、脱毛など)
放射線による細胞損傷ー>長期低線量被曝(一定時間に低い線量)ー>確率的影響(がん、白血病、遺伝子的影響)
放射線防護の考え方としては・・・・
- 確定的影響は、しきい線量以下に抑えることにより影響をなくす。
図4:急性放射線被曝の局所及び全身症状
- 確率的影響は、しきい値がないと仮定し、合理的に線量を低くすることにより影響が現れる確率を容認できるレベルにする。
日常で見られる放射線被曝線量
Gy:放射線が物質に与えるエネルギーの単位 Sv:放射線の人に対する影響に用いる単位
0.05-0.65mSv 胸部X線/1回
8.8-10mSv CT/1回
100mSv 0.1Gy 人体に影響がない線量
250mSv 臨床症状なし
500mSv 重篤な症状なし
1000mSv がん発生率5%
20-30Gy がん治療(がんに対して)
日本人の1日の自然線量は「2.1mSv」である。世界平均の年間自然放射線は2.4mSv
(しきい値:ある作用が反応を起こすか起こさないかの境界の値)
放射線によるがん、白血病の増加。
およそ100mSvより低い線量では放射線ががんを引き起こすという科学的根拠はない。
現在の日本人では、約30%ががんで死亡。原因と考えられているのは、生活習慣、喫煙、ウイルスや細菌などである。
放射線とがんのリスク
原爆放射線被曝者ー>がん死亡率の増減 8%増加 ー>被曝線量(被曝期間)200mSv
図5:がんの相対リスク
○自然界には元々放射線が存在している。
例えば内部線量は、食物などによるもの(0.29mSv)。外部線量だと、大地(0.48mSv)や宇宙線(0.39mSv)によるものなど。事故以前から身の回りには放射線が存在していることがわかる。
図6:県内各地の環境放射線の積算線量の状況 3/11~9/7
図7:県内各地の環境放射線の積算線量の状況 6/1~9/9
図8:県内各地の外部被曝の積算線量の状況
○1986年4月のチェルノブイリ原発事故後の妊婦堕胎例がある。
キエフ市民では、死の灰を浴びた、ある妊婦は胎児影響を心配(死の灰:131I,137Cs)ー>ハンガリーで放射能検査。甲状腺には高い値だが、胎児には影響がないレベルだったが、中絶をした。ハンガリーでは、1986年5-6月 早産の割合が10.7%増加。それ以外の月は平均9.75% その時のハンガリーでの被曝は0.1mSv/月 母親の放射線に対する恐怖心が胎児に影響したことによるもの。ギリシャでは、堕胎例数が千件。1986年の被曝量0.6mSv/年。また、全欧州にて、胎児の奇形を恐れ、10万人以上の母親が堕胎。被曝量は0.001-2mSv/年
●生活上の注意点
○体内・食物中の放射性物質
<日本人(体重60kg)の場合>
カリウム40 4,000ベクレル
炭素14 2,500ベクレル
ルビジウム87 500ベクレル
鉛210・ポロニウム210 20ベクレル
「体内の放射性物質の量 ー> 約7,000ベクレル」
<食物中のカリウム40の放射線濃度(ベクレル/kg)>
干し昆布:2,000 干し椎茸:700 ポテトチップス:400
魚、牛肉:100 食パン、米:30
これらは主にガンマ線を出すもの。自然界のガンマ線もセシウムのガンマ線も人体に与える影響は同じものである。
ちなみにバナナは、1本から約200bq 約0.1μSv被曝する。これは40Kのせいであり、カリウムは様々な食物に含まれている。
米に含まれているセシウムの影響は? セシウムは玄米(特にぬか)に多く含まれており、精米することにより約6割は減少される。
500Bq/kg(玄米)ー>200Bq/kg(精米)ー>年間60kg消費(日本人平均)ー>年間0.15mSvの被曝。
○体内に入った放射性物質はどうなるのか。ー> 「体外に排出される」
体内へ取り込まれた放射性物質は、新陳代謝により体外へ排出されていく。むしろ新陳代謝の活発な子どもほど排出が早い。
○では、窓を開けても安全なのか。
3月の事故直後には放射性ヨウ素やセシウムが飛んできていた。窓を開けていると放射性物質が侵入するが、閉めていれば減らすことができる。
5月下旬以降、20kmの外では空気中の放射性ヨウ素、セシウムはほぼ検出されていない(発電所に覆いがされていないため、ゼロではない)。窓を開けていても放射性物質が侵入する可能性は低いが、強風の場合は注意が必要。むしろ閉め切ることにより、熱中症のリスクが高まってしまう。
○マスク、長袖の必要性。
今は空気中の放射性物質は検出されていないので、通学などで子どもが長袖を着用する必要はない。
現在の被曝のほとんどは地面などに残っている放射性セシウムからのガンマ線による外部被曝であるため、普通の生活で内部被曝防止のためのマスクは必要ない。ただし土埃が多いときなどは被曝で少なくするための意味でマスクの着用がよい。除染作業ではマスクの着用や泥のつきにくい服装で行うこと。泥は綺麗に洗えば問題はない。
放射性により傷ついたDNAの多くは修復されている。空気中の放射性物質は検出されていないため、窓を開けても心配はないが、被曝を少なくするためには、できる範囲で除染などの対策や食物に注意することが大切である。測定器を使用する際、正しい使い方をすること。
また、ネットなどの不安を煽る情報に惑わされないよう、安心して自信を持って生活を送ること、放射線以外のがんのリスクを避けることが今後の健康に重要であると考える。
文献)
福島県小児科医会 「放射線と子どもの健康〜子どものすこやかな成長のためにできること〜」の資料
文責:kuru