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gair20-01008121725@●そして今回は、
11.プログラムと免疫、診断の融合

     
  1. 免疫グロブリンのひながた 免疫グロブリンは、進化的に古いもの。免疫グロブリンスーパーファミリーの基本形ファミリーは種々のリンパ球、白血球に発現します。CD 2,3,4,8,28,MHCI,IIなど多数が含まれます。このファミリーを上位クラスとして、それを継承する抗体免疫グロブリンクラスが存在し、構成員はIgM,D,G,A,Eとその亜型ということになります。多様性はおもにクラススイッチと遺伝子組換えによります。
  2. クラススイッチと組換えの違い( 図VIII, 図IX)  クラススイッチ(176)では、VDJ遺伝子以外に、 IgMを原点として各スイッチ領域が存在しています。類似例として、ABO式血液型あります。つまりO型を原点として、スイッチ領域が存在しA,B,AB型が出来ます。免疫グロブリンクラススイッチも同じような機序です。
     これに対して組換えは、 VDJ遺伝子を載せる巨大な224個もの遺伝子で構成するHLA遺伝子座が舞台です。ちなみにこのHLA   ローカスは、6番染色体短腕に存在します。
  3. 組換えの順序
       
    1. VH,D1-D23,JH1-6などから、 VDJ遺伝子が作られます。 まずはD,Jが組替り、それが機能正常だと、VHとの組み換えが始まります( 図VIII)
    2. 次にκ遺伝子の組み換えが行われます。
    3. κ遺伝子の組み換えが非生産的に終了すると、λ遺伝子の組み換えが行われます。( 図IX)
    4. 機能的な組み合わせだと検証されれば、最後はmRNAとして組まれて、リボゾームやゴルジ体で機能するグロブリン蛋白となる。となるわけです。
      図式化すると、生殖細胞型DNA->B細胞DNA->一次転写物->mRNAと、各コンポーネントを組み換えて行われるわけです。
    抗原刺激から始まり、活性化遺伝子RAG-1,2などが関与し、以上の多様性の発現が行われるのです。
    では一体だれが行うのでしょうか。
    (理解への注1:重要:免疫グロブリンのidiotype = 抗体に特異的な構造とは、おもに抗体結合部位= ほとんど可変、超可変領域ということに。
     注2:コドン3つの、例えばArgをコードする、A-G-Aだとこの3つ揃えをコドンという。コドンはmRNAに乗っている。蛇足だが、正しいアミノ酸を作らない、プログラムでいうと、\0のようなコドンを終止コドンと呼んでいます。)
     
  4. 敷衍
     この免疫のファミリーやクラスという考え方をオブジェクティブ型のプログラム言語のクラスという考え方と融合させ、当院情報システムのひながたを中心に遺伝子雛形を作る試みです。まずお断りするのは、そこには、当然身体表現だけでなく、心や家族も含むという事です。でなれば、クラスというオジェクティブな考え方を取る意味がありません。
     さて、例を14番染色体生殖細胞型H鎖locasにとります。( 図X)
    個人(person class)->正常と異常のクラス->異常のクラスの疾病クラス(当院では図のクラスを30年来使用していますが、理解の共通化を図るため ICD10の分類を疾病クラスと表現しています)->インスタンス(生成されたオジェクト、実体)に対するメソッド
    #1 問診(背景や訴え)、
    #2 身体的診察、
    #3 臨床検査
    などから疾病のサブクラス(症候群、Disease)が、データクラス(遺伝子ローカス、疾病分類、治療法など)を参照し、治療メソッド、予後推測メソッド)を行うことになります。 
        図XIの様な例で、3日前に熱発R50その後咳R05と喘鳴J786が続く子がきて、湿性ラ音R09があり。呼吸状態J12が悪い以外に、おへその右やや下と左横に圧痛点がある。普段から喉に絡まるおじさんくさい咳K21に、 12歳であり中学受験が目前と続き、既往に喘息様気管支炎J450兄弟が咳R09、喘息J450が多い家族となれば、症状クラスの「ゼロゼロ」は、各疾病クラスから同様の症状を検索するように考えると(図XIの左下;Objective-C風)、結果的に気道の慢性炎症J32,35や過敏状態J45だけではなく、逆流性食道症K21などを含みます。
     繰り返しになりますが、診断の時に免疫データクラス(上位)を忘れないというのが当院の「診療の工夫」であり、コード(絆)の解きほぐしになります。この子供は喘息家族を継承しているので、当然ですが継承するクラスは他にストレス身体表現F45を含むことになります。
     ここでF,J,Kを組み換えにより連結(あるいは継承関係を明確にします。( 図XII
    さらに、忘れてならないのは、免疫学的アレルギーの存在です。例では、喘息もあるので当然ですが、他の疾患においても、例えば胃炎においても、逆にアレルギーを常に考えます。  理由は免疫クラスには、アレルギーも入るからです。免疫グロブリンだと、IgE mast cellから ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどを遊離、気管支の攣縮を生じます。慢性化にはT細胞、IgG1,G4,IgAも関与します。遺伝も関与します。親が両方ともアレルギーの場合、こどものアレルギー出現率は50%です。それに、アレルゲンの感作に関係するのは、やはりHLA遺伝子(A2,DR2,DR3などなどで、これらはMHC遺伝子座でもある)であるとわかっているものがありますし、疾患の形成において、100%アレルギーが関与するだろうというのが、考え方の根底にあります。ストレスも言わんやおいておや、ということですね。これが当院の実診療のキモになっています。
     コード(絆)を解きほぐすとき、それをオブジェクティブにクラスとその継承という思路をたどれば、単純な一疾病一元論は、事実誤認の恐れがあるということですね。