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○抗体測定法
萎縮性胃炎のように胃内の菌体密度が低下してる状態、他の検査法で偽陰性が疑われる場合に有用。
PPIや防御因子製剤の影響を受けないので休薬を必要としないことが利点。保険診療上、静菌作用を有する薬剤を内服中であっても測定することが可能。
・血清抗体測定法
方法:EIA法を用いた方法、イムノクロマト法に基づく迅速検査法。
不十分な点:日本は使用される抗体測定の製品には複数キットがあるが、最近普及しつつあるラクテックス法による測定では結果の再現性を含めた診断精度の評価。
除菌成功後、血清抗体の陰性化には1年以上を要する。
主にEプレートでEIA法により抗体価が測定、陰性と判断されても抗体価が3U/ml以上10U/ml未満のカットオフに近い「陰性高値」。例では20%弱の感染者が存在することが明らかに。
・尿中抗H.pylori抗体測定法
方法:EIA法を用いた方法、イムノクロマト法に基づく迅速検査法(後者は、判定者によって判断が異なることあり)
不十分な点:EIA法による尿中抗体測定では結果が数値で得られても、除菌判定における有用性に関する検討は現時点では不十分。除菌判定には推奨されない。
注意:EIA法では早朝尿などタンパク濃度が高い場合には偽陽性が見られる場合がある。
・イムノクロマト法で測定する定性法の迅速尿中抗体測定法のラピラン >外来などの検査に便利
・ELISAで測定する定量法のウリネリザ >一度に多くの検体が測定可
ともに除菌前の感染診断は、血清抗体測定と同等以上と報告されている。(採血をしない最も非侵襲的な検査)
○便中抗原測定法
方法:胃ー消化管を経由して排泄されるピロリ菌由来の抗原を検出。抗体測定とは異なり、直接的に抗原を検出する。
現在使用されているキットはモノクロナール抗体を用いたものー>感度・特異度ともに高値で、除菌判定時に用いるべき検査として欧州のガイドラインでも推奨されてる。
H.pyloriの抗原性はcoccoid fromの菌体においても保持され、UBTでは陰性となるcoccoid fromのケースでも検出可能と考えられるようだ。また利点として、残胃における診断精度は優。
キットによってはPPIの影響を受けにくい。抗ウレアーゼ活性作用のある薬剤を服用中でも抗原検出頻度は高いとされているが、これらについては十分な検討はなされていない。
現在日本で一般に使用されているのは、いずれも高い診断精度を有している。国内の成績では、迅速型であっても除菌判定が可能。EIA法では血清抗体のように大量の検体が処理できるので健診での実施も可能。
注意点:実施にあたっては、抗原が薄まってしまう水様便での偽陰性。排泄便では24〜48時間で正しい判定ができなくなるが、専用の採便キットに便を採取すれば1週間程度は常温以下で保存可。(40度では数日で偽陽性が生じる)