pedi13-0160928930@
日本発アレルギー研究最新情報
以下文献先のP1349-1353「初回喘息乳児における反復喘鳴、喘息の予測因子」より、そのまま引用
・ウイルス感染による下気道感染に伴い初回喘息を呈した乳幼児80%以上が、RSウイルス、ヒトライノウイルス、もしくはこれらの混合感染であった。
・初回喘鳴後の反復喘鳴発症率は、RSウイルスとヒトライノウイルス(HRV)で差はなかった。
・初回喘鳴時入院後の反復喘鳴有無は、鼻汁中の各種バイオマーカーの多変量解析を行った結果MIP-1αにおいて有意なオッズ比が見られた。
ウイルス感染と喘息の発症
感冒の80%はウイルス感染。喘鳴、喘息発症や喘息の急性憎悪への関与は数多く報告されている。
HRVに関しては、反復喘鳴に大きく関与。>ウイルス感染後の吸引性抗原に対する感作やウイルスに対する反応性低下がその後の喘鳴に関与するとの報告あり。
研究では、乳幼児期のRSウイルス感染は反復性喘鳴や喘息発症へ影響。さらに学童期以降肺機能低下に関与していると報告。RSウイルス細気管支炎の乳幼児の鼻汁吸引液、気管支肺胞洗浄液中のIL-3,IL-12p40が対象児と比較し、有意に高値であるとの結果の報告あり。
最近、乳幼児期早期の呼吸器感染とその後の喘息症状にはウイルスのタイプによる関係性は低いとの報告あり。
乳幼児がウイルス感染による喘鳴をきたした場合、その後の反復喘鳴、喘息発症における明確な予測因子はないが、今回の結果でMIP-1αが因子として有用である可能性が考えられる。
RSVに関しては、パリビズマブの早産児における反復喘鳴予防に対する有効性の報告があり、ワクチン実用化にはまだ時間を必要としている。
引用文献
衞藤義勝ら:小児科診療 第79巻 第10号,(株)診断と治療社,東京,2016
文責:K