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psyc08-01603161601/3.離人性、まとめ ......

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○離人性障害 S50,S57,S81,S83,S84,S87

「離人症性障害の診断根拠となった離人症は、内因性若年ー無気力性不全症候群の症状(著者注;統合失調の初期)と見なしうることをわすれてはならない。」つまり、「より軽症の疾患である可能性を考慮しつつも、なお決然とそうと、すなわち重症の疾患であると診断し、それに対応した治療を始めなければならない」

・解離とはある種の心の働き、ヒステリーという病態から見れば、症状形成機序

S83
・それが当該者に認識され、初めて原始反応が生じるもの、それが主観的体験として存在すること
・前形成性ないし生得性。生物であるからには、それは自己防衛という合目的性であると考えられる。
・要は自己の連続性が断たれており、そうした病的状態を生ぜしめたと想定される心理的葛藤を担った自己はいま現在の自己が関知するものではないこととして意識から切り離されている。逆に病的な状態は原則として健忘をこうむる。解離症とは苦悩の主体、真の自我を別の自我へと置き換えることによって(葛藤主体の隠蔽)、結果として心理的葛藤を逃避するものであることがわかる。
・真に「解離」と呼べるのは葛藤主体を隠蔽する、つまり無きものとする解離症のみ

・成因にはふれないというDSM作成の大原則をあてはめると、解離とは刺激の強さや、宿主の反応性と、暴露の時間などからの自己危急反応としての心のメカニズムだから、まず、葛藤主体の隠蔽からはじまり、病期が、1(意識からの葛藤の排除)->2(葛藤している自分を認知できない)、->3(葛藤する自己そのものの変容)へ一連のスペクトラムをなしているがDSMではみとめず、無視されている。


文献: 中安信夫:反面教師としてのDSM-精神科臨床診断の方法をめぐって-,初版,星和書店,東京,2015,p99,p113,p177,p189,191,p195


○まとめ、S64,および全体。
以上から、
・その科で取り扱う疾患のすべてを、それも症状と経過のみで分別するような診断基準がいったいぜんたい他の科にあるのか。
・時として十分には言語化できなくとも知悉していくこと
・自ら経験することこそが最良の‘腕を磨く’ことになる
・従来の治療はEvidence(証拠)に基づいていないという認識がある
・予測される効果発現時期以前にすでにある薬剤を無効と判定して他剤に切り替えたりする例に出会うことがある
・DSMによって教育された精神科医がただただ操作的診断基準の機械的な適応しかできないという先例をみれば、火を見るより明らかなこと。先の反論は机上の空論と思われる


文献: 中安信夫:反面教師としてのDSM-精神科臨床診断の方法をめぐって-,初版,星和書店,東京,2015,p139,141