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 患者:3歳 女児

A

P

症例を当該研究員(A)と報告者(医)(P)が作成 その1

   主訴:喘鳴   

   既往歴:便秘症  家族歴、アレルギー歴など:特記すべきものなし。

   服薬歴:

現病歴: 2015/4/26に来院。1ヶ月前からの熱1日後の咳が続き、2日前から鼻が出て、喘鳴が起こっているが熱はない状態だった。粗な呼吸音で、軽い湿性ラ音と目の充血が見られたため、吸入の処置を行った。5/7には外へ連れて行っても問題なく、熱もなかったが、粗な呼吸音で喘鳴は聞かれないが喋ると笛声に。吸入で改善を認めたため、日に2回ペースで吸引し暫く様子を観察を行った。5/17、熱と喘鳴が見られる。吸入の処置。その晩夜間・休日急病センターへ。胸部XP検査を受けた。 その後徐々に改善し、幼稚園に通っていたが、再び発熱と嘔吐。軽度な腹満あり、圧痛はなく急性胃腸炎と思われる。

6/3 吐くのは止まったが、元々の咳が続いていて夜中咳き込むことが。

薬を飲んでいれば全体には抑制出来ているが、たまに咳が中心で鼻はほとんど出なく喘鳴もない。7月に入ってからは、夜に咳が多く出るとのこと。聴診上問題はなし。7/20に夜間・休日急病センターで気管支喘息と診断処置を受けた。 服薬にテオドールを使用し、効果あるので発作が強い時はテオドールを治療に加えた。 その後も薬が切れるとまた咳が始まってしまう。

以上の経過から、問題点としては、以下の点が明確となった。 そのため、包括ケアの観点から、 苫小牧市夜間・休日急病センター 医師:K.K、Y.K、S.Nなどと協力して治療することになった。(実際はしてない)

 当院のアプローチとしては? 本人に対しては? 以下の点を留意指導し、ご家族にはどのように接し、 地域包括的には? 

 以下の点をお願いし,同時に啓発してみた。 また他機関との連携には、メール等を使用して適宜連絡をとる工夫をしたい。 その結果としての本人の行動変容は? (BPSapp;) (FOapp;) (Intgr;) (Modify;) (Health-Medic-Educated-Social promo-& whole-personal;) BPS(全人的),家族干渉、多科的統合医療と、結果としての患者さん変容、地域の医療資源を種々利用する援助などを意識しながら治療を試みた。簡素に表現すれば、検査結果などの生物学エビデンスから得られる異常以外に心理的、家族的問題を全人的にケアを試み、その理解が進んだところで患者さんの行動の変容をみた。

 箇条書きにすると、以下のようになる。 そのアプローチから到達点(outcome)をその下に記述した。がほぼ満足な結果となった。 (BioCareEval;) (PatComEval;) (IntgrEval;) したがって、診断、治療までの流れは問題をあまり感じないが、もっと家族orientedで出来たか、家族の生活史、新たな合併症防護、特に地域でのヘルスプロモーションの観点からの配慮が不十分であったことを反省している。 (C-Result;) (Psychic-S;) (Others;) しかし患者さんを理解していこうというときに、もっとも生物学的にも人間としても、誠実に自分でできる限り最善の提案を行っていきたい。

   主訴:繰り返す咳や咳き込み 

   既往歴:アレルギー歴など:特記すべきものないが、家族歴:現在一人っ子  服薬歴:ツロブテロールテープ

現病歴:ほぼ1月1ー2回のペースで喘鳴を伴う咳がでていた。

生後6ヶ月ごろから始まり、喘鳴を伴うようになり、喘息様気管支炎と診断。

突然発作状態になり夜が眠れないことがある。感冒を伴わない発作もあり、吸入で楽になるので治療には協力的。アレルギー素因が強く、粘り強い投薬などが必要であると母に説明。この4月からは、幼稚園に行き始めたが今のところ順調。

以上の経過から、問題点としては、以下の点が明確となった。

・感染に伴わない発作がある。

・発作が急でテオフィリンを使用することもある。

・包括ケアの観点から、アレルギー素因の無い母親になぜこうなるかを時折説明するようにした。

T小児科(当院休診日)や市立病院など代わりがわり治療しているが、当院のアプローチとしては、発作が急激で、比較的強いことを指導留意点とし、心因的なアプローチを特徴にした。母には、アレルギー児は、あまり過保護にならぬ様に接することが肝心なことをお話し地域包括的観点では幼稚園でもあまり特別視しないように先生に話してもらい、ナイーブな一人っ子性格が、他への依存性の原因にならないように工夫した結果、本人の行動変容として、すぐ泣いて、なんでも母にやらせようとする行動は減り、粉薬、吸入など、治療にも積極的で泣いたりしないように頑張って、吸入、服薬などすすんでするようになった。

以上の結果;もともと乳幼児では、感冒などに引き続くことが多いが、本児は、一人っ子の依存的傾向が影響している。 家族にその点を指導した。行動変容から、3歳児でも、独立心が芽生えると、治療に積極性がでて、普通幼稚園に行き始めるとむしろ感染機会が増えて発作はふえるのに、逆に少なくなっている点が注目された。 このようなアプローチには、同様の子どもをもつ母親教室などのヘルスプロモーションも有効であろう。

 結語:こどもへのBPSアプローチ,母親への積極干渉により、弱い子を持つ母の孤独感もへり、さらに、通常診療日の小児科との並診で、受診できない日がへる安心感や、自我の発達を意識した治療で、本人の行動が変容。理的なケアを母にも試みる、地域の医療資源を種々利用する意識を持って治療してみた。年齢的には到達点とは言えないが、このような全人的ケアは、3才児にも満足な結果が得られた。

 エビデンスは乏しいが、一般に言われる心身症としての喘息と違って、乳幼児は、生物学的要素が多い常識があるが、3才児の喘息でも、かかる状態を嫌がることより、治療への積極性がでて、手洗いなどの感染予防も自分でして、幼稚園に行き始めても、予想に反して、発作回数が減った。

以上だが、多忙などの理由で、より踏み込んだ地域ヘルスプロモーションなどへの積極性が不十分だったことは反省している。