A
P
症例を当該研究員(A)と報告者(医)(P)が作成 その2
主訴:左耳下腺・顎下腺の腫れ、左右ともに圧痛
既往歴:喘息性気管支炎
家族歴:父、母、兄(本人のカルテを見てわかる範囲)
服薬歴:おたふくのワクチンは接種済
アレルギー:特記すべきものなし。
現病歴:2016.7.23に来院。昨日より痛がる様子が見られたが、感冒症状はない。陽性所見では、やや左耳下腺に腫れが見られ、顎下腺も軟腫脹+であり、両方ともに圧痛があった。右に腫れはなかった。
去年の冬、突然左耳下が腫れがひどく、かなり痛んでいた。処置等の結果>流行性耳下腺炎。気になるのは去年もしっかりおたふくになっているという点である。抗菌剤としてセフジトレンを使用。診断名:流行性耳下腺炎とした。
翌日、朝ひどく痛がったが、冷やすことですぐ治まった。この日みられたものは、まだ若干耳下部に腫れ、顎下腺の腫れ(しっかり)、右の耳下腺開口部の腫れ。右耳も痒がる様子だが、鼓膜はきれい。このまま3日以上続くのであれば、唾石も考え、耳鼻科へ行くように言った。 去年は、母親もおたふくにうつり、はっきり流行性であった。
同月の31日に来院。27日に右の腫れがみられる。 29日にN耳鼻咽喉科クリニックにて確認。検査報告書によると、両側、アミラーゼも尿、血清ともに出ており、なんと血清は8000を超えていた。
ムンプス IgG EIA 判定 (+) EIA価 128.0以上
ムンプス IgM EIA 判定(+-) 指数 1.11
特に変わらず、両側の耳下腺が触れる。しかし7/24と比べると縮小しており、耳下腺とも無痛。7/27より反対側にも移行しており、結果、8/5より感染解除とした。
以上の経過から、問題点としては、以下の点が明確となった。
・去年もしっかりおたふくになっているという点。
・去年は、母親もおたふくにうつっている点
・アミラーゼも尿、血清ともに出ており、なんと血清は8000を超えていた。
当院のアプローチとしては、母親には、半年後以降の抗体の確認をお願いをした。これは、8/4に母親が受診、3日前から左耳下部に違和感を感じる>急性耳下腺炎の疑いがあったため。 (顎下部に腫れはないが、やや左耳介の付け根が盛り上がっているような感じがあった。)
実際に去年おたふくにかかっているので、再発することはないとされているが、どうやら再感染する症例は他にも多くあるようであった。
患者さんを理解していこうというときに、もっとも生物学的にも人間としても、誠実に自分でできる限り最善の提案を行っていきたい。
主訴:左耳下腺・顎下腺の腫れ、左右ともに圧痛
既往歴:喘息性気管支炎 2015年1月におたふくに罹患としている。(実際は下記のようにIgMはーだった)
家族歴:特になし。 アレルギー、ワクチン歴:1歳でおたふくワクチン接種済み。
現病歴:2016.7.23に来院。昨日より痛がる様子が見られたが、感冒症状はなかった。陽性所見では、やや左耳下腺に腫れが見られ、顎下腺も軟腫脹+であり、両方ともに圧痛があった。このとき右に腫れはなし。去年もしっかりおたふくになっていた(臨床的に)という記憶あり。
診断名 化膿性(まさか流行性)耳下腺炎疑い
唾石も考え、疼痛がつづくなら耳鼻科へ行くように言った。
7/29日にN耳鼻咽喉科クリニックにて確認したところ、検査報告書によると、アミラーゼも尿、血清ともに出ており、なんと血清は8000を超えていた。
ムンプス IgG EIA 判定+ 128.0以上
ムンプス IgM EIA 判定+ 1.11
(参考 *201 1/7 Amyl 1672
ムンプス IgG EIA 判定+- 2.5
ムンプス IgM EIA 判定 - 0.03 )
以上から、問題点としては、以下の点が明確となった。
・去年おたふくになっていたか否かという点。
結果として、反復性流行性耳下腺炎疑いだが、去年が違っている可能性もある。当院の家族アプローチとしては、母親には、半年後以降の抗体の確認をお願いをした。なぜなら、8/4に、母も同様に耳下腺の痛みがある。
おたふくは、再発することはないとされているが、再感染する症例報告があった。
患者さんを理解していこうというときに、小児科は、臨床経験に重点を置く傾向が強いが、もっと生物学的に可能な問題を既成の概念や経験にとらわれないで診断検査などするようにしたいと反省した。