●説明:一番有名なのはエリクソンなどに代表される発達心理学の知見で、発達とは、身体・心理・社会的側面の統合体としての人間が変化する過程であり、その変化の過程には高度の分化や複雑さ、機能の効率を獲得していくことに加え、構造と機能の減退を含む、というのが定義です。発達のキーワードは、growth(発育), maturation(成熟), learning(学習), ageing(加齢)ですし、表のライフサイクル上のどの時期とも喪失の体感(lost feeling)が愛着の失敗が、この4つに対して、一番危険なストレスとなります。愛着の失敗の一番大きな代償は自殺です。発達心理学は、大脳生理学的な根拠を持つことが多いですが、愛着に関する知見には、1 愛着には、オキシトシンが大切という生理学的知見や、2 思春期は、報酬系(ドーパミン)優位とされ、その経路も前頭より頭頂の部分。 成人すると、頭頂の機能の一部が後脳部の側頭に移転する、などがあり、思春期の喪失感が、非常に大きい一因かもしれません。ラットの研究などでは、ドーパミン報酬系には、継代可能な、個体の差の存在も言われています。
CQ-8 愛着とその失敗(喪失)の根拠は? --脳科学と人間発達心理学から--
参考;「感情の脳科学」中村俊,初版,東洋書店,2014,東京
「看護のための人間発達学」舟島なをみ,4版,医学書院,2011,東京
「環境小児科学マニュアル〜1989」西本方宣,1987年初版,1991年改訂版,函館
第一段階 |
誕生~15ヶ月 |
基本的信頼感のget 特に母性が対象になる |
第二段階 |
15ヶ月~3、4歳 |
自律性の獲得、しつけから恥や疑惑の克服し、意思を持つ |
第三段階 |
3~6歳まで |
エディプスコンプレックスの克服や、コンプレックスの形成(異性親への愛着や同姓親、同世代への競争心などを根源とする罪悪感など)を克服できるか |
第四段階 |
5、6歳~前思春期(学童期) |
褒め言葉による強化で、良い子、劣等感の克服、勤勉、これでいいんだという思いなど |
第五段階 |
思春期~19歳ごろ(青年期) |
行動力の飛躍、アイデンティティーの獲得 |