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CQ-81 愛着の失敗2-喪失lost feeling

●説明:今のところ発達の脳科学では、定常の発達の解明よりも、主に先天性の中枢神経系の機能障害を原因とする自閉症スペクトラム障害などの解明に焦点が向いていますが、すでに愛着についての知見も多々あります。加えて右の古い図にも表現した免疫系の関与も今や確定されようとしています。

 Epigeneticsの観点からも、感受期のネガティブ体験 (1 hit 津波)が思春期以後の同様のストレス(2 hits 例えばスーパー台風との遭遇など)で再燃すると、精神的な疾患になる可能性があることなどが、ツーヒット説(もともとペアとなる対立遺伝子が抑制遺伝子でそれがノックアウトされた場合、片親由来ではならないが、ペア両方の障害だと癌が発症するという)との関連を言われています。

 さらに、まだ、推論ですが、例えば発がんの原因となる他生物由来の遺伝子が自己遺伝子への挿入するような、RetroTransposonの活動ー遺伝子の能動変化(DNA 一部の変化->RNA転写され->それがDNA に逆転写されて挿入)のメカニズムも、生理学的なメラトニンーセロトニンーうつのメカニズム同様、愛着の失敗の説明に関与しようとしています。

参考;「感情の脳科学」中村俊,初版,東洋書店,2014,東京

   「看護のための人間発達学」舟島なをみ,4版,医学書院,2011,東京

   「環境小児科学マニュアル〜1989」西本方宣,1987年初版,1991年改訂版,函館